菅野奈津子さんは、小学3年生の女の子を持つシングルマザー。菅野さんは東京でテレワークを経験した後、東日本大震災後に地元の宮城県気仙沼市に戻ってきました。気仙沼で行政の仕事や、都市部と地元企業とを結ぶコーディネーターとして働き始めた時、テレワークが浸透していないことや、女性の職種と働くための手段が非常に少ないということに気づきました。そして、このような仕事環境を変えたいという思いから、2022年9月に、働きたい女性と企業をつなぐプラットフォーム事業を行う会社を立ち上げました。この起業に繋がったのが、グラミン日本とミライWorkShopだったのです。
いつかは起業したいと思っていた菅野さんですが、「誰かに相談したい、同じような思いをもった人がいるのではないか?」とも感じていました。そしてインターネットで「起業」をキーワードに情報を集めた時に出会ったのが、シングルマザーを支援している「日本シングルマザー支援協会」でした。早速「日本シングルマザー支援協会」に相談したところ、「起業をしたいなら、グラミン日本の『ミライWorkShop』を受けてみるのがいいと紹介されたのが、菅野さんとグラミン日本の出会いだったそうです。
グラミン日本の「ミライWorkShop」では、過去の自分を振り返って「人生曲線」を書くなどのワークを通して、自分が今までどのように生きてきたのかと向き合うことができたこと、そして、自分だけではなく仲間の人生を知ることができたこともとても有意義だったそうです。起業をしたいとずっと考えていたものの、不安も大きかったため、なかなか踏み出すことができなかった菅野さん。起業に踏み出せたきっかけは、コーディネーターの仕事をしていた時に出会った、起業の先輩の言葉でした。
「早く始めないとおばあちゃんになってしまうよ。最初は小さくてもいいからまずはやってみたら?」
その言葉で、悩み続けるより、やってみてから悩んだほうが良いと思えたのです。
現在菅野さんは、テレワークという手段を気仙沼に浸透させることで、女性が自由に働くことができる環境づくりに取り組んでいます。特に、地元の女性の働く選択肢を増やすことが目標だといいます。会社の名前はズバリ、「株式会社女性が働きやすい会社」。集まったメンバー全員で、どうやったら働きやすい会社になるかを常に考え続けています。
「1人じゃない」と思えることの大切さ。それは、菅野さんがシングルマザーになって気仙沼に戻った時、気仙沼に住む同じような境遇の女性と話す時に、何度も実感したことでした。周囲から「バツイチはかわいそう」と言われ、自分でもそのように感じてしまっている方や、「自分はバツイチだから・・・」とネガティブな思考になってしまう女性が多いのです。なぜそうなってしまうのか考えたとき、「バツイチ」という言葉が離婚=失敗というイメージを作ってしまうからではないかと思い「まるいち」というコミュニティーを作りました。自分と同じように、自分をラベリングしてしまっている人たちがそのことに気づいて、そこから抜け出してくれたらいいと思っています。
自身の仕事について、「子連れでも出勤できる職場をつくりたい」とキッパリ言い切った菅野さん。さらに将来の目標として、世界を旅行しながら、場所にとらわれない働き方を実現していきたいと教えてくれました。