poverty日本における貧困の実態
相対的貧困が日本の課題
先進国と呼ばれる日本。そんな日本でも所得格差は徐々に広がっています。「相対的貧困」という言葉をご存じでしょうか?国や地域の中で、大多数よりも貧しい状態を指します。(注1)
厚生労働省の「2018年 国民生活基礎調査」による相対的貧困の基準は世帯年収127万円とされ、相対的貧困率は15.7%に達しています(注2)。つまり日本人口の6人に1人、約2,000万人が貧困ライン以下での生活を余儀なくされているのです。
日本の相対的貧困率は、G7でワースト2
2014年のOECDの調査では、日本の相対的貧困率は先進国35カ国中7番目に高く、G7(フランス、米国、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)では米国に次いでワースト2位。2000年代半ばから相対的貧困率がOECD平均値を上回る状態が続いています。(注1)
母子家庭は、2世帯に1世帯が相対的貧困
母子家庭をめぐる状況は特に厳しく、2世帯に1世帯以上が相対的貧困状態にあります。
男女や雇用形態による日本の賃金格差は、G7でワースト1
2019年の日本の男女間での賃金格差は、正規職で約23%と、G7の中で最大です。この格差の背景には、女性は正社員で働いても、結婚や出産を機に退職することが想定されるため、配置や育成方法などにおいて偏りが生じたり、昇給・昇格が抑制されやいことがあります。このような日本の社会構造が、結果的に女性の貧困を生む要因となっています。
コロナ禍で「実質的な失業状態」に置かれた、非正規職の女性たち
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、特に非正規職で働く女性の雇用を直撃しました。2020年4月~11月に解雇や雇い止めとなった非正規雇用の女性の割合は男性の1.8倍に上り、休業を余儀なくされた人は21%と、5人に1人に上っています。一方で、正規職の女性については男性と大きな差はなく、スキルや雇用形態によって困窮するリスクが高まることがわかります。
女性は、金銭・時間の不足や社会からの孤立により
キャリアアップが難しい
失業や雇止めにより、不安定な状況に置かれた女性の多くは、次の4つの心理状態にあるとされます。
①お金がない(経済リソースの欠乏)・・・・・・日々の支出で精一杯で、預貯金や自己投資に回す余裕はない
②時間がない(時間リソースの欠乏)・・・・・・仕事や育児に追われ、自己研鑽や求職活動に使う時間はない
③孤独だ(コミュニティからの孤立)・・・・・・困窮状態を周囲に共有しづらく、社会との繫がりを持ちにくい
④つらい/苦しい(メンタル/身体の不調)・・・不安定かつ孤独な環境下で、心身に不調を来しやすい
こんな気持ちでは、自立やスキルアップに目を向けることもできず、苦しい状態からなかなか抜け出せなくなってしまいます。
「貧困の壁、穴、坂」を、一人で這い上がることはとても難しい
困窮状態から這い上がるためには、立ちはだかる貧困の壁、穴、坂を乗り越える必要がありますが、一人で立ち向かうのは非常に困難です。貧困脱却を実現するためのプログラムと、一緒に壁、穴、坂を伴走する人が必要です。