普段の業務内容
産後ケアやベビーシッティングなどの居宅訪問型ビジネスの運営および採用に関する支援業務を行っています。
入会のきっかけ
グラミン銀行については、2006年のノーベル平和賞受賞を機に知りましたが、それから数年後にユヌス博士の「貧困のない世界を創る」を読み、マイクロファイナンスやソーシャルビジネスの可能性について、「これは本当に世の中を変えていくきっかけになるかもしれない」、と強く関心を持つようになりました。2019年、本業で繋がりのあった企業とグラミン日本の提携を知り、日本にもグラミン銀行が上陸していたことにワクワクし、どのように日本で展開していくのかまず話を聞いてみたいと、説明会に参加したことが入会のきっかけです。その頃はまだ組織としても手探りの部分が多く、日本のカルチャーにグラミンのメソッドがフィットするのだろうか、疑心暗鬼な気持ちもありましたが、実際に活動を続けていくにつれ、今の日本に必要なサービスであることを確信し、入会してよかったと思っています。
貧困問題への思い
これだけテクノロジーが発展していても、貧困問題が世の中から無くならないのは、社会的、経済的、政治的な要因が複雑に絡み合っていることや、実際の当事者と一部の関心のある人だけの問題になっているからなのかもしれません。私自身は、祖父母が慈善活動をしていた影響もあり、幼い頃から東南アジアやアフリカ諸国の貧困について関心を寄せていましたが、それは途上国だけの話だと当時は思い込んでいました。日本は社会保障が整っているお陰で、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされるような貧困は、諸外国に比べて極めて少ないですが、30年前の日本では取り沙汰されなかった相対的貧困については、見過ごすことができない社会課題になってきています。
グラミンメソッドの一環である金融トレーニングでは、様々な地域から参加されるシングル世帯の家計バランスシートを見させていただくのですが、地方在住者の収入の低さに唖然とすることが多々あります。年収150万以下は珍しくありません。国から支給される手当もありますが、それをプラスオンしても、子どもたちに義務教育以上の高等教育を受けさせることは難しいと感じています。そして、子どもたちが成人し手当が支給されなくなった後、急に生活困窮に陥る女性も少なくはありません。今現在、逼迫していなくても、困窮リスクを抱えているシングルマザーは潜在的にかなり多くいることを知りました。
実際に活動することで、日本でも貧困問題はかなり深刻だと理解できるのですが、まだ日本では大多数の方が他人事として捉えている部分が多いと感じています。地域のつながりも昔に比べると減ってしまい、実際に困窮している人が身近にいることに気付いていないケースもあると思います。私たちグラミン日本のサポーターが出来ることとして、関わるシングルマザーたちのリアルな声を社会に発信、関心を持っていただける方を増やしていけたらと思っています。
活動についてのやりがいや活動によって得たこと
シングルマザーについてはメディアや様々な文献で理解していたつもりでしたが、それがほんの一部であることを活動を通じて知り、自分の無知さに落胆しました。しかし困窮する背景が見えてきたことで、解決に近づく一歩を得ている実感があり、活動してきてよかったと思っています。
5人組の互助グループで支え合うスタイルが、いまの時代、そしてこの日本の風土にマッチしているのか、グラミンに参画した頃はまだ懐疑的に思っていましたが、実際にワークショップの運営やセンターマネージャーとして女性たちに関わっていくにつれ、5人組形成の意義はかなり高いと確信に変わりました。
小さな一歩でも、自分で決めて動き出した女性は、自信に満ちた顔に変わります。そのプロセスを共に歩ませていただけることに、大変やりがいを感じています。引き続き、メンバーの皆さんが安心して成長できる機会を作り、自信に満ちたシングルマザーが増えることを願っています。
これからグラミン日本で挑戦してみたいこと
グラミン日本に参画する以前から注目していた書籍、『自分ではじめた女たち~「好き」を仕事にするための最良のアドバイス&インスピレーション~(in NY)』の日本版を出版してみたいです。この本には、自分でビジネスを成功させた112人のマイノリティーも含めた多種多様な女性たちの生き様が、美しいポートレートと共に描かれています。
日本にも沢山の女性起業家についての書籍はありますが、自信があまりない方にとってはハードルが高い内容で、ますます自分は出来ないと落ち込んでしまうものです。そうではなく、自信がないところから始めた自然体のストーリーと、自信に満ち溢れたポートレートと共に、1冊の本にまとめてみたいです。グラミン日本には、そうしたユニークなストーリーが沢山誕生しています。
入会を考えている人へ一言
私たちが支援するシングルマザーの皆さんのことを第一に考えていただくのが大切ですが、活動しているプロボノたちの幸せも不可欠なので、楽しく活動していただけたらと思っています。