グラミン日本は「人生の案内所」

麓 友紀 さん

和歌山県在住のシングルマザー、麓(ふもと) 友紀さんは、成人した娘さんと2人で暮らしています。彼女は現在、幅広い福祉サービスを提供する法人で、訪問介護の管理者とサービス提供責任者を務めています。

麓さんは5年前に社会人学生として福祉系の短大を卒業し、介護福祉士の資格を取得しました。そして2年前に娘さんの夢を叶えるために和歌山県への移住、現在勤めている福祉施設を紹介されて介護の仕事にかかわることになったのです。

麓さんが初めてグラミン日本を知ったのは、福祉系の大学に通っていた時期でした。在学中に、大事な人が突然亡くなり学校を続けようか悩んでいるときに、とある団体から賞をいただく機会があり、自分の境遇や経験から得たものが、誰かの力になることを知り『支援団体』に興味を持つようになったのです。娘さんに障害があることもあり、障害のある方を支援する仕事をしたいと思っていたのです。そこで、支援のニーズをひとつに絞るのではなく、支援を必要とする全ての人を支えている団体を検索しているときに、グラミン日本にたどり着きました。
しかし、当時は「グラミンって名前、日本語じゃないし、聞いたことない団体だし・・・」と不安を感じ、問い合わせすらできませんでした。

その後、不特定多数と接する仕事に疲れを感じ、また、県外に移住したことで、場所や年齢を問わない仕事がしたいと思ったことから、ある支援団体が主催するオンラインのデジタルスキル研修コースに参加しました。この研修コースに、支援団体の伴走役として関わっていたのが、グラミン日本だったのです。
麓さんはここで、はじめてグラミン日本の「伴走支援」と、それを支えるスタッフに接したのでした。

麓さんはデジタルスキル研修と並行して、他の研修生と共に、グラミン日本の「ミライ WorkShop」を受講しました。このワークショップでは、参加者が自分の人生を振り返る「人生曲線」を描く活動や、他の参加者との議論を通じて、自身の過去と未来について深く考えるワークがあります。こうした活動を通じて、麓さんは、自分が本当にやりたいことが「社会的に困難な立場にある方への支援」であり、同時に、これまで苦手と思っていた「人と接する仕事」が、意外と自分に合っていることに気付きました。これが、介護業界でのキャリアを再考するきっかけとなったそうです。

その後もグラミン日本のプログラムに参加し続けて、未来について深く考える過程で、麓さんは自身の変化を感じていました。仕事に対する否定的な感情から、前向きな考え方に変わったのです。

この変化は、「センターミーティング」でさらに加速しました。センターミーティングとは、グラミン日本のスタッフであるセンターマネージャーのサポートのもと、シングルマザー5人が1組となり、隔週で現在の状況や今後の予定をオンラインで共有し合う場です。このセンターミーティングを経て、麓さんの中で「私は、社会保障から漏れがちな方々の生活に、寄り添ってサポートする活動をしたいんだ」と具体的な構想が固まってきました。そして、この思いを、自分が勤務している福祉施設の代表に話したのです。すると、代表は麓さんの想いを受け止め、否定することなく聞いてくれて、じゃあそのためにはどうしようかと考えてもくれました。

「自分の『やりたい』気持ちを再び呼び起こしてくれて、確実なものにできたのは、考えるきっかけを作ってくれたグラミンのおかげ。ただ夢を考えるだけでなく、その思いを現実にしていくためにはどうしたらいいのかを、グループのみんなやグラミン日本の方が一緒に考えてくれました。グラミン日本は私にとって『人生の案内所』です。」と、麓さんは語ってくれました。

麓さんの目標は、障害のある方だけではなく、生活困窮者や支援が不足している方々に対し、ワンストップで支援体制を構築することです。グラミン日本のように、支える側として伴走支援をしていき、より多くの人々の自立を支援し、社会全体の福祉を向上させることを目指しています。

麓さんは、自身と同じように迷いや不安を感じている方へ、「グラミンに参加することで、自身を振り返ることができます。自分を肯定的に受け止めてくれる仲間がいて自信にも繋がりました。一歩踏み出せば変わることができるんです」と話してくれました。

麓さん(左)と、一般社団法人幹 代表理事 丸山さん(右)

麓さんが参加された、無料でオンライン開催のミライ WorkShopの詳細および申し込みは、こちらをご覧ください。
https://grameen.jp/lp04