ミライWorkShopで出会った、起業への道筋と仲間たち

中村晃子 さん

オンラインインタビューで初めてお会いした中村さんは、とても生き生きとした明るい方でした。

「それはきっと、ZOOMの外見補正機能を目いっぱい使っているからですよ。オンラインアドバイスをする時に、画面映りは大事ですから」と笑う中村さんは、ファスティング※や腸活のアドバイザーとして、オンラインカウンセリングを行ったり、酵素ドリンクの販売を手掛けたりしています。

※ファスティング・・・英語で「断食」を意味します。体調管理や体内のデトックス、腸活や妊活を目的に実施する人も増えており、身体の整え方の1つとして注目されています。

「世の中のお母さんは、子育てに追われ、家族中心の生活の中で、自分自身を大切にできてないことがあります。そんな女性の心と体を健康にするためのお手伝いをしていきたいです」

その信念は、2年前の自身の経験に基づいています。当時、お子さんが不登校になり、さらに親御さんの介護も担うことになった中村さんは、やむなく正社員の仕事を退職。さらに過大なストレスで心身の調子を崩してしまいます。その時、改善のきっかけとなったのが、中村さんの場合はファスティングだったのです。

「その経験をきっかけに、ファスティングや腸活、酵素ドリンクの物販を通して、世の中のお母さんの力になり、かつ子どもとの時間を大切にできる在宅での事業の立ち上げを考えるようになりました。その実現のために、市の創業塾や起業イベントに参加する中で出会ったのが、グラミン日本だったのです」

中村さんが参加したグラミン日本のミライWorkShopは、自分の人生経験や思いを形にするところから始まり、事業計画を立てるところまでを、グラミン日本のスタッフや同じ境遇のシングルマザーとともにワークショップ形式で作り上げていきます。

「ワークショップの最初のステップで『なぜファスティングを広めたいのか』とか、自分の得意な部分、足りない部分がわかってきました。自分のペースで、ステップごとに事業計画作成まで進められたのがよかったです。事業計画の立て方は、市の創業塾で習っていましたが、習ったからといってすぐ書けるものではありません。それをグラミン日本で少しづつ教えてもらえました。ステップが進むにつれ、最初はいろいろなことがぼんやりとしていましたが、次第に道筋が見えてきて、目標に向かって進めるようになりました」

そして何より心強かったのが、同じ思いで事業を起こそうとするシングルマザーの存在でした。

「ワークショップの最初に、一緒に参加する皆さんがどんな苦労をしてきたか、何が楽しかったか、そして子どもとの生活を守るために、悩みながらこうしている、ということをお互いに共有しました(『人生曲線』ワークショップ)。この時、「みんな味方だ。味方に出会えた、と思ったんです。」

これをきっかけに参加者同士の距離が縮まり、わからないことをお互い聞きあったり、わからないなりにやってみよう!という勇気が得られたそうです。ミライWorkShopを経て、事業を志す参加者と5人一組の互助チームを形成してからも、垣根のない心地よい関係は続いています。

「もしグラミン日本に出会わなくても、どこかで起業の学びはしていたとは思います。けれど、一緒に頑張る仲間は得られていなかったかもしれません。初歩的な質問でも、気にせず口に出せる。誰かの成功が、自分の励みになる。そんなグラミン日本の5人組は、優しい世界だな、と感じています」

最後に中村さんに、今後の夢をうかがいました。

「今、腸活アドバイザーの仕事を通じて、コミュニティカフェの運営や不登校児の家族会とのつながりもでき、いろいろなことがつながり始めています。まずは事業を軌道に乗せ、子どもたちと穏やかな時間を持つことが目標ですが、ゆくゆくは不登校や引きこもりのご家庭の支援ができればと思っています。
子どもとの時間が確保しにくいシングルマザーにとって、短い時間で在宅でできる高単価な仕事が突破口になるはずです。グラミン日本が、子どもとの時間をあきらめたくないシングルマザーの背中を押してくれます」

オンラインでそう微笑む中村さんの目は、画面補正のせいばかりではなく、嬉しそうに輝いていました。