スペイン語と日本語を流暢に操るコロンビア国籍のイレーネさんは、日本で介護の仕事に就いてきました。しかし、資格を取得しても、十分な給与を得ることはできませんでした。
このままではキャリアアップは望めないと考えていたイレーネさんに、グラミン日本の存在を教えてくれたのは、愛知県で生活困窮者の支援活動を行うのわみ相談所代表の三輪憲功さんでした。
グラミン日本のメンバーとなったイレーネさんは、同じ外国人と5人一組の互助グループを組み、仲間と励まし合い、互いに刺激を受けながら、医療介護分野で通訳職に就くという目標を掲げます。
中南米出身者が多く住む愛知県では、医療や介護の現場でのコミュニケーションが大きな課題となっています。自分はスペイン語のネイティブスピーカーだし、介護現場の事情もよく知っている。そこに通訳のスキルが加われば、キャリアアップと社会課題の解決の両方につながると考えたのです。
マイクロファイナンスの融資金で、愛知県立大学情報科学部の医療分野ポルトガル語スペイン語講座を受講料したイレーネさん。
現在は、のわみ相談所で通訳として活躍しながら、スペイン語・日本語の医療通訳教室の開催や、病院や介護施設などで通訳職に就く準備を進めています。
言葉を通わせることで、心をつなぐ力になりたい——それが、祖国を遠く離れた日本で、自らの強い意志と行動力で道を切り拓いたイレーネさんの今の思いです。