日本の企業は、99%が中小企業。エヌエヌ生命は、日本経済を動かす力である中小企業を支える「中小企業サポーター」として、経営者に向けた事業保険を提供する生命保険会社です。 他方、未来を見据え、経営者にとことん寄り添ったユニークな支援活動も展開しています。多くの中小企業の経営者・後継者から支持を集めているその活動を担う、事業開発部CSV推進チームリーダーの片山あゆ美さんに、グラミン日本がお話をうかがいました。

片山あゆ美氏 エヌエヌ生命保険株式会社
事業開発部 CSV推進チーム リーダー

2012年中途入社。
社内広報と社会貢献活動を担当。2020年より現職。
FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定証保持者。

中小企業経営者が抱える課題への多面的にアプローチ

グラミン日本:まず、エヌエヌ生命がどのように日本事業をスタートされたのか、そして御社で解決したいと思われている社会課題についてお聞かせください。

片山あゆ美氏(以下片山):我々は1986年にヨーロッパの保険会社として初めて日本に進出しました。その後、何度か社名変更を経て現在の「エヌエヌ生命」になったのが2015年です。前身のアイエヌジー生命時代は、「子どもの教育」にフォーカスしていましたが、「エヌエヌ生命」としてのリブランディングにあたり、真の「中小企業サポーター」として皆様のお役に立ちたい想いで、日本の中小企業をとりまく課題にフォーカスしています。後継者や若手経営者といった「次世代の支援」をテーマにしたCSR/CSVの活動を行っています。

グラミン日本:具体的には、どのような活動をされていらっしゃるのですか?

片山:2017年に始めたのが、「家業イノベーション・ラボ」という活動です。NPO法人の「ETIC.」さんと「農家のこせがれネットワーク」さんと一緒に立ち上げた活動で、家業を承継した経営者の方やこれから承継する方に向けてイノベーションの実現をサポートするプログラムやセミナー、ワークショップを提供しています。

そして実は、今日のインタビューで使っているこの場所「NN Shibuya Crossroads」も家業後継者・中小企業経営者向けの共創スペースなんです。44Fにあって富士山が見える一番いい場所なので、我々の大切にしている中小企業コミュニティの皆さんに活用してもらいたい、ということで施設リソースを開放しています。

つながりと学びでイノベーションを!「NN Shibuya Crossroads」(共創スペース)

グラミン日本:どれも中小企業の方々の悩みや想いに寄り添った、すばらしい取組ですね。経営を次世代へ引き継いでいく中では、様々な課題があると思いますが、皆様どういったところで一番お困りになっているのでしょうか。

片山:先代のビジネスモデルが、事業承継時にはすでに賞味期限切れになっていることが多い、というところですね。25年、30年と長いスパンで、しかも親から子、といった関係の中で経営者が変わっていくため、後継者の方々がどのようにリーダーシップを発揮し、今の時代に合った、サステナブルに利益をあげられるビジネスモデルに変えられるか、というところが課題です。家業の伝統を守りつつも、自分らしい「イノベーション(新商品開発だけではなく経営面での改善や販路開拓を含む)」を実現させるために、背中を押してあげる場として「家業イノベーション・ラボ」のコミュニティを運営しています。

女性のアントレプレナーを支援する「サポーター」として

グラミン日本:グラミン日本に支援をいただいた背景について、教えていただけますか。

片山:母体であるNNグループの方針として、ボランティア活動に時間を割いたりやチャリティー団体への寄付などを行っています。中小企業をサポートするボランティア活動をスタートした当時は、繁忙期のリンゴ園に収穫のお手伝いに行ったり、オンラインでの新規事業アイデアの壁打ちなど、できることから始めました。また、社員がもっと気軽に参加できるイベントとして、チャリティー・ランを定期的に開催しています。21年冬のチャリティー・ランのイベントから、社員が走ったキロ数に応じて拠出した金額を、グラミンに寄贈する取組みを始めました。

グラミン日本:いろんな支援先があると思いますが、なぜグラミンを選んだのですか?

片山:グラミンはNNグループと同じくアントレプレナーシップを大事にされていて、マイクロビジネス起業を支援されているからです。特にグラミンが支援している方々にシングルマザーが多く、ジェンダー平等を推進するという点でも個人的にも共感しています。いずれマイクロビジネスが育って、雇用を生み出していけば中小企業へと成長していきます。このようにグラミンと当社が大事にする価値観や目指す方向が一致しているということが、支援を決めた理由です。

グラミン日本:マイクロビジネス起業や女性のアントレプレナーシップという観点から、エヌエヌ生命とグラミンの共通点は多いですね。これを支援の理由に挙げていただいたのは大変嬉しく思います。
ところで、チャリティー・ランには何人くらいの方が参加されているのですか?

片山:2021年は社員900人中120人くらいでした。このチャリティー・ランは日本中どこでも参加できるバーチャルで実施しました。記録した距離に応じて寄付金を拠出する仕組みです。今年も同様に実施するので、日本全国でより多くの社員の皆さんが走ってくれると期待しています。

グラミン日本:そんなに多くの方が参加されているとは驚きです。誰もが参加しやすく、結果も目に見えて実感することができる素敵なイベントですね。イベントを通じて、社員の皆さんの意識や理解に変化はありましたか。

片山:去年のバーチャルラン開催時に、百野理事長からコロナ禍で失業や休業で苦しんでいる方々の様子を伝えるメッセージをお寄せいただきました。

グラミン日本:グラミンを支援して良かったことをお聞かせください。

片山:数万人の社員を有する大手企業とは違い、弊社は社員数が900名程度で取り扱い分野がニッチなので、支援できる規模が小さくそれゆえ社会的インパクトに欠けることが悩みでした。貧困問題やジェンダー平等に取り組まれているグラミンとご一緒できたこと取り組みに広がりができることを期待しています。

<参考>グラミン日本が取り組むSDGsのゴール

グラミン日本が取り組むSDGsのゴール

グラミン日本:最後に、今後グラミンと一緒にこんなことをやってみたい、と思われることを教えてください。

片山:グラミンへは資金面での支援だけではなく、女性のアントレプレナーシップの向上における支援もしていきたいと思っています。グラミンの支援を受けて起業しようとしている女性に対して、当社の社員が直接的にアイデアの壁打ちなどのご支援を提供したいと考えています。

グラミン日本:グラミンメンバーが起業に向かって成長していく中で、御社が持っている経営のノウハウやオペレーションの改善などを学べる場を作っていただけると、とても心強いですね。
これからも御社には 「中小企業サポーター」、そして「グラミンサポーター」として、一歩を踏み出そうとする人々の支援を続けていただければ嬉しいです。グラミン日本も一人でも多くの方の経済的自立に向け励んでまいります。本日は貴重なお話をありがとうございました。

(※)グラミンメンバーとは、グラミンから支援を受けている方のことです。<実績はこちら>

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