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グラミン日本1周年に向けて

いつも一般社団法人グラミン日本にご支援をいただき、誠に有難うございます。
グラミン日本を昨2018年9月13日に立上げてから、1年が経ちました。この間、グラミン日本は「貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会」を目指して、活動してまいりました。この1年間を振り返り、改めてこれまでのご支援に心より感謝申し上げる次第です。

小さくも大きな一歩を踏み出せた1年

グラミン日本は、日本で最初のグラミン型マイクロファイナンス機関として設立されました。グラミン日本の各事業について過去1年間を振り返ってみますと、小さくも大きな一歩を踏み出せた1年でありました。

<融資事業>
融資事業については、隔週毎にメンバー(グラミン日本のご利用者)向けに説明会を開催し、またアライアンスを組ませていただいている企業様や団体様との説明会開催などの協働を通じて、メンバーへのアウトリーチに取組んでまいりました。これまで約140人の潜在的なメンバーの方々と、直接ご相談させていただきました。このうち、3組15人が5人一組のグループを作り、うち2組の2人に融資が行われました。
3組のうち1組は融資実行には至りませんでしたが、融資を行った2組のうち1組目は、飲食関連の配達員のグループです。配達員として働きながら派遣などのお仕事をダブルワーク、トリプルワークでされている方です。ITの資格を取って生活をステップアップさせたいと、資格取得のための授業料として今年4月末に20万円の融資をさせて頂きました。現在、配達のお仕事をされながら、資格取得を目指して頑張っておられます。
2組目は、地域の活性化に取り組んでいる子育て中の女性のグループです。経済的・精神的自立を目指して、まちおこしビジネスを始めるため、今年7月末に融資をさせて頂きました。現在、地元の特産品を活用した商品を販売し、ワークショップの講師を務めるなど事業を開始されています。
現在、さらに数組が5人一組のグループ形成の準備を進めており、当面10組50人への融資を目指しています。グラミン日本を立ち上げて間もないということもあり、融資実績はまだ少ないですが、メンバー候補者とのコミュニケーションを通じて様々な経験と学びが蓄積できた1年でありました。「小さく始めて大きく育てる」グラミン方式に従い、成功事例を積み上げて次の展開につなげていきたいと考えています。メンバー候補者のニーズや期待を踏まえ、さらに多くの方々にグラミン日本のことを知って頂き、融資実績を積み上げていくため全力で取り組んでまいります。

<会員事業>
グラミン日本のビジネスモデルは、少額融資を無担保低利で行い、毎週のメンバーとのセンターミーティングを通じた伴走型の支援を行うものです。そのため、金利収入のほか、法人・個人会員の会費やご寄付を通じて、事業活動費を賄っています。これまで30社の企業・団体様からご支援いただいております。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
会員事業では、グラミン日本のミッションやビジョンに共感をいただき、ご支援いただいている企業様とビジネスモデルの共創、人材育成・就労機会の創出、CSR・ブランド価値の向上などに取組んでいます。立上げ期の今年は、これらの法人会員との協働の礎を築く1年でもありました。例えば、地域コミュニティとのつながりを築くサポートをいただいたり、メンバーの就労・起業支援に向けた取り組みを推進しています。
また、今年の1月28日と6月25日には、新規会員の開拓と既存会員の交流を目的として「SDGsコンソーシアム」を2回にわたり開催し、延べ124人にご参加いただきました。その他、台東区山谷や横浜市寿町の町歩きツアーなどのイベントを随時開催しております。

<ファンドレイジング>
多くの個人・法人の皆様のご支援によりこれまで約4,000万円のご寄付・基金・会費の資金的ご支援をいただきました。ご支援をいただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。グラミン日本の安定的な事業展開のために、引き続き、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

これらの事業を支える組織体制も、多くのボランティアの方々のご支援・ご協力によって拡充してきました。これまで、この1年を通じて、法人会員によるプロボノスタッフをはじめ約140人のボランティアにご支援をいただき、現在、約50人のボランティアやインターンがコアとなり活動しています。

日本社会におけるグラミン日本のあり方への大きな示唆を得た1年

活動1年を通じて様々な示唆をいただきました。
日本における「貧困」に対する見方や捉え方につきましては、「貧困」という言葉への抵抗感(自分は貧困ではないという意識)や、恥の文化の存在を改めて認識させられました。
次に、お金を借りることへの抵抗感や、お金を借りることは怖いという、ネガティブなイメージが先行してしまうことが妨げになることもありました。
また、多くのメンバーが起業することに対する心理的距離を感じており、就業支援のニーズを実感しました。
グラミンの融資モデルである5人一組の形成につきましては、心理面・環境面のハードルが存在するため、グループ形成のコーディネートの重要性を痛感しております。地域や目的ごとにグループ形成の環境整備が必要とされているように思います。
最後に、プロボノスタッフ中心に事業運営している組織として、事業活動のエンジンである人材の追加や強化、事業会社との有機的連携や外部人材の効率的活用の仕組み化など、体制強化が必要であると考えています。

2年目に向けて

日本では国民の6人に1人、約2,000万人が貧困ライン以下での生活を余儀なくされ、貧困・格差が広がっていますが、私たちはまだまだグラミン日本を必要としている方々に十分なアウトリーチができておりません。上述のような示唆を活かし、2年目となる今期は、地域での地道な活動をしつつ、より多くの企業や団体、自治体などとの協働を通じて、サポートを必要としている方々にアウトリーチを拡大していきたいと考えています。
この1年間の経験や知見を踏まえ、起業希望者・就労希望者向けのワークショップや就労フェアなどの開催、融資対象の範囲、融資条件や商品性の見直しなどについても、日本の実態に合うビジネスモデルを構築してまいりたいと考えています。

グラミン日本へのご指導・ご鞭撻、そしてご支援のお願い

グラミン日本は“Fast alone, Far together!“(「速く行きたいなら1人で行け、遠くまで行きたいならみんなで行け!」)をモットーとして掲げています。これはメンバーのみなさんが仲間と出会い、仲間とともに高みを目指すことを意味するのみならず、私たち自身も賛助会員やボランティアなどサポートをいただいている皆様、連携していただいている企業様、団体様、個人の皆様、地域コミュニティの皆様などと共に前に進むことで、「貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会」を作るという大きな価値を創造したいという想いです。
皆様のお知恵やアドバイスをいただきながら、前に進んでまいりたいと考えています。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
今後ともグラミン日本へのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。