子供の反面教師だった私も“どん底”から這い上がれた

西川 玲子 さん

水素吸入機を横に、お客様のヒアリング中

シングルマザーになったプレッシャー、時間の余裕のなさ、更年期 ― 体が悲鳴をあげ、立ち上がることも難しいほどの絶不調になってしまった、西川玲子さん。

偶然、友人に誘ってもらった水素吸入で劇的に回復したことから、自身で水素吸入サロンを起業。いまは西川さんの背中を見たお子さんが「私も起業してみようかな」というほど、順調に切り盛りをしています。

体調が悪くどん底だった時期には、娘さんたちに反面教師にしてもらおうと「ママみたいになったらあかんで」と話していた西川さんが、どのようにどん底から這い上がったのか、グラミン日本のプログラムに参加した感想と一緒にお聞きしました。

トイレへ這って、首は1cmも動かせない

西川さんは離婚したとき、頼れる人が誰もいませんでした。ただ、小学生の娘さんが2人いたので、とにかくプレッシャーが大きかったと言います。

離婚前は資格を取得してネイルサロンを開いていたものの、趣味として友人向けにやっていた程度だったため「まずはおカネを得ないと」と、週6日パートで働き始めました。しかし「特に何のキャリアもなく焦りました。スーパー、喫茶店、ラーメン店、もう手当たり次第に掛け持ちをして。月曜から土曜まで働き、日曜日は子供たちを遊びに連れて行き、体を休める暇がありませんでした」

それでも十分に稼げたとは言えず、子供に習い事をやめさせないといけなかったときもありました。

なんとか生活を回していましたが、だんだんと不調が出始めます。更年期症状がひどく、神経痛のような状態で全身のあちこちに痛みが出現。足底筋膜炎という足裏の炎症を引き起こす症状にも悩まされました。寝起きは立ち上がることができず、トイレへも這っていくような状態に。1cmも動かせないほどの首の痛みや、難聴も発症しました。

病院に行っても原因ははっきりせず、薬は増えていくのに治らない。当然ながら満足に働けず、おカネは減っていく。こんな状態が1年は続いたと言います。

仲間がほしくてグラミンへ

健康を心配した友人が水素吸入サロンに連れて行ってくれたところ、手すりなしで階段を降りられるくらい足裏の痛みが和らぎ、驚いた西川さん。「私の体質に合っていたようで、その後も何回か通っているうちに、体調がどんどんよくなっていったんです。それで自分で水素吸入サロンを開こうと思い立ちました。見切り発車でしたが、なにより自分自身が復活した経験があったので、突き進みました」

パート勤務を継続しつつ8カ月間、休憩時間と深夜に連日猛勉強をし、国内外で医師が発表したエビデンスを集めたり、休日には水素を取り扱う全国のサロンを訪問したりしました。

ただ、起業にあたってはやはり不安もあったため、シングルファミリーの独立支援団体・一般社団法人「ハートフルファミリー」からの勧めで、グラミン日本が手掛けるプログラム「ミライWorkShop」に参加することにしたそうです。

「(ミライWorkShopに参加したあと、グラミン日本で融資を受けると)5人1組でのミーティングを定期的に行うと聞いて、仲間が欲しかった私は迷わず参加することに決めました。

周囲にシングルマザーの友人や知り合いがいなかったので、ほかの人がどうやって生活しているのかも知らなくて。だから、仲間ができたら心強そうだなと思ったんです」

5人組の仲間はみなシングルマザーのため、起業のことに限らず、子供への接し方や体調などの話しもできるのが心強かったそうです。

水素を吸っているお客様に接客中

自分の考えを言語化できるようになった

「1ヵ月に2度行われる5人組でのミーティングとワークがとても役に立ちました。たとえば自分の目標などを毎月記入していくのですが、回を重ねるうちに考えがどんどん鮮明になったり、事業に対しての改善点や反省点が見えてきたり。しかも記録に残り、みんなとシェアができて意見ももらえる。言語化は苦手なのですが、きちんと言葉にしていくことはとても大事だと感じました」

「毎月自分の考えを言語化して整理していたのが、開業後も私の思考方法のベースになっていて、考えをブラッシュアップできていった気がします」

とはいえ、全てが最初から順調だったわけではなく、店をオープンした初日はなんとお客さんは友達が1組来ただけだったそう。この集客方法はうまくいかなかったから今度は広告打ってみよう、イベントに出てみよう、もっと使い勝手がいい料金プランを作ってみよう ― 試行錯誤しながらがむしゃらに運営をしてきました。

そして2023年11月のオープンから半年ほどたったころには、月商100万円を達成。お店の運営が楽しくて仕方ないと笑顔を見せます。

「ただ、時間的にはパートのときよりも忙しいです。起業してからは、24時間休みなく頭の中で考えっぱなしです」

「金銭的にも、グラミン日本のマイクロファイナンス(小口融資)を利用しただけでなく、親にも借金をするなど、まだ決して楽とは言えません。でも先行投資は大事だと思っているので、新しい機械を導入したり、レモネードの販売も始めたりしているんです」

娘が働けるよう新規事業を開始

「この春に高校1年生になった下の娘が骨折して、楽しみにしていたアルバイトがしばらくできなくなってしまいました。気持ちもだいぶ折れてしまっていたので、それなら私が娘の働ける場所を作ってあげようと、レモネードを販売する屋台式のお店を始めました。

元々いつか始めたいなと思って、勉強はしていました。だから、立ち上げるなら今だなと。水素吸入でできたおカネをぶっこみました(笑)」

公園のイベントなどへ出店し、月1程度で営業中。いまは3回目の営業を終えたところだそう。「下の子はいま反抗期ですが、このお店を開いたことで子供たちとの時間が増えて、親子関係もよくなってきたなと感じています」

親子でお店を運営

体調が悪くどん底だった時期は、娘さんたちに反面教師にしてもらおうと「ママみたいになったらあかんで」と話していたそう。しかし起業して、さらには一緒にレモネード店を開くようになり、下のお子さんは「自分も何か事業を始めようかな」と言い出すようになりました。上のお子さんも、インスタグラムの運用や、出店場所の情報収取、経費計算などレモネード販売をメインで回せるよう勉強中だそうです。

「まだトライ&トライ&トライ&エラー状態ですけれどね(笑)」と笑う西川さんですが、いまは反面教師としてではなく、ご自身の背中を見てお子様たちが育っている実感を持てているようです。

行動力の源泉

癌だったお父様も西川さんのお店で水素吸入をし、薬の副作用が軽減してご飯が食べられるようになったり、動けるようになったりしたそうです。お客様が同じように、ほんの少しでも体が楽になり、笑顔が増えたらいいなと日々奮闘しているそう。

「私は、自分のためにはそんなに動けないけれど、子供のためとか、周りの人のためとか、喜んでもらえることだったら動きたいと思える性格なのかなと思います。過去にもいろんなボランティアをしてきました。

娘と運営しているレモネード店に関しても、目標があります。不登校だった親戚がいるのですが、そういうちょっと外に出るのに勇気がいる人でも、アルバイトできるような環境を作っていけたらいいなと思っています」と話します。

水素吸入サロンの経営もレモネード販売も、一歩踏み出してよかったと笑顔を見せる西川さん。西川さんが受けたグラミン日本のミライWorkShopは、オンラインで毎月開催中です。