“たられば”で立ち止まっていた私が「迷ったらGO」に変われた―いまは別人のように生き生き

山田 優希 さん

保育園で親子向けに「足育教室」を開く山田さん。
足や爪の変形に悩む子供の来店が多く、もっと知識を広めたいと動いたのが開催のきっかけでした。

タコや魚の目等、足や爪の悩みに対応するフットケアサロン「ドクターネイル爪革命 富山店」をフランチャイズで営む山田優希さん。「迷ったらGO」と話す前向きな女性ですが、以前は「たらればで、起きてもいないことでずっと悩んでしまう性格だった」と言います。

【山田優希さんのキャリア】

離婚を機に、保育士から法人営業に転職。ただ金銭的には安定せず
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人材派遣会社で人材コーディネーターとして就業。過酷な労働で家庭崩壊と病気の連続
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外国人技能実習の管理団体で事務員として就業。後に管理業務、監査業務も行う
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同業の新規立ち上げ公益社団法人から声をかけられ、引き抜きで採用
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公益社団法人を辞めることになり、紹介を受けたフットケアサロンの開業を決める
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開業後、グラミン日本のワークショップに参加。小口融資も受けフットケアの技術をスキルアップ
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順調に事業拡大、現在はシングルマザーも業務委託で雇用

必死で頑張るようになった

離婚したのは10年ほど前、まだ二人のお子さんが未就学児の時でした。保育士から法人営業に転職して離婚に備えましたが、「成績によって変動するので収入が安定せず、金銭的に困っていました。子供たちにも我慢をさせていたと思います」と語ります。

縁あって2023年8月にフットケアサロン店を開業したあとは、以前より付き合いのあったシングルファミリーの独立支援団体・一般社団法人ハートフルファミリーからの勧めで、グラミン日本が手掛けるプログラム「ミライWorkShop」に参加することにしました。

このワークショップでは、仲間とともに「①自分を見つめる」「②起業アイデアを形に」「③開業プランをつくる」を行います。その後は、同じ境遇の仲間と5人一組の互助グループを作って、励ましあいながら経済的自立を図るマイクロファイナンス(小口融資)を受けて進むことになります。

「月に2回、5人の仲間がそれぞれ、前回から今日までの2週間どんなことをしてきたか発表するのですが、みなさんがすごく励ましてくださるなか、自分が何の成果も発表できないのは嫌だったんです。なので、何か仕事を取ってこなきゃと必死で頑張るようになりました」

能登半島地震で足や爪のケアのボランティアをしたことがきっかけで新聞から取材を受けることになったり、いまだに操作が苦手なインスタグラムを使って直接コンタクトをとり、スポーツ選手との繋がりを作ったり、保育園での出張講座「足育教室」開催にこぎつけたりと、大きな成果を次々と披露し、私たちを驚かせてくれた山田さん。

グラミン日本のスタッフから見ても、回を重ねるごとに生き生きと別人のようになっていき、グループの仲間たちにとっても刺激になっていました。実際にグラミン日本からマイクロファイナンス(小口融資)も受け、事業を軌道に乗せていきました。

フットケアを始めたきっかけ

外国人技能実習の仕事を急きょ辞めなければならなくなり困っていたところ、ハートフルファミリーから店舗開業の案内をもらったのがきっかけで、いま天職と感じているフットケアに携わることになりました。話しをもらったとき、山田さんは二つ返事で引き受けたといいます。

「まず、離婚してから本当にたくさんの方に助けていただいてきました。赤ちゃんから高齢者まで対応でき、足を扱うこの特殊な仕事だったら、自分も社会貢献ができる。自分が開業すれば、仕事やおカネがなくて困っているシングルファミリーに働ける環境を提供できると思ったんです」

以前はITのスキルアップを図ったこともありましたが、あまり合うとは感じられず「直接感謝されるいまの仕事が楽しい」と笑顔を見せます。

施術には120%の意気込みで臨みます

悩んでいるだけでは変わらない

いまは決断力や行動力があるように見える山田さんも、「変わったのは本当に最近で、店を持ってからです」といいます。開業直後は「お客さんが来なかったらどうしよう…」と“たられば”で悩んでばかりだったそう。

「『そんなこと言ってもどうしようもないし、何も変わらない。行動して壁に当たったら、それはそのとき考えればいい』と、ドクターネイルの営業の方がズバズバ言ってくださって。ごもっともだなと思ったんです。お客さんが来ないからと店内にいるだけでは何も状況が変わらないから、当たって砕けろの精神で営業してみよう、そんなふうに思えるようになりました」

一番の宝物は「人」

いま一番の宝物は「人」だと言います。

  • 別のお客様を紹介してくれるお客様
  • フットケアを必要としている介護施設を紹介してくださる人
  • 応援に来たり営業の仕方を丁寧に教えてくれたりする、同じドクターネイルの別店舗の人気店長
  • 山田さんの志に共感して応援してくれる大家さん
  • 心から叱咤激励してくれるハートフルファミリーの方

そんなふうに周りの人が支えてくれることに、とても助けられているそう。

それだけいろいろな人に支持されるのであれば、施術の腕前もすごいのでは?と尋ねてみると「未経験だったので、最初の技術レベルはそこまで高くなかったです。この点はどうしようもなかった。だから、いかにして顧客満足度を上げるか考えていました。初回が勝負で、お客様が求める以上の情報提供をマメにするなど心掛けていました」

「私にできることなんてほとんどないですが、お客様があなたのファンと仰ってくださったり、母の様に毎月たくさんの食べ物を持ってご来店くださったりと、いろんな方が助けてくださるので、その分をきちんとお返ししていきたい、店を潰してはいけないという思いがあります」

「自営業を始めてから、『数字を追い求めるとお店が潰れる』と言われたことがあって。それからは、ギブギブギブ、つまり与えて与えて、与え続けて、おカネはないけれど、できることはやらせていただこうと意識するようになりました」

高齢者向けにも出張講座を行っています

夢は世界進出

実際にスタッフとしてシングルマザーの業務委託契約も始めた山田さん。開業当初の目標を叶えつつあるなか、次なる野望は北陸や東北への展開と、その先の世界進出です。「足のケアはもちろん、シングルファミリーを応援できる拠点としても、店を増やしていきたい」と笑顔で話します。

同じようにシングルファミリーで、いろいろ悩んだり立ち止まっている方へのメッセージは?と質問すると「迷ったらGOです。行動したら何かしら答えが出てくる。前に進むのって怖いと思うけれど、やってみると意外にそうでもなかったり、壁にぶつかっても乗り越えれば成長できる。乗り越えられない壁はやってこない。私も、周りに厳しいことを言われたときもありましたが、それもありがたかったです。今では、叱ってくださいと自分から求めるほどです。笑」

私たちグラミン日本は「苦手意識があって踏み出せない」「私になんかできるはずがない」と立ち止まってしまうシングルマザーをたくさん見てきました。そんなときはぜひ私たちの活動に参加してみてください。一人では難しいことも、同じように悩んでいる仲間となら乗り越えられることがあります。また、私たちも皆さんが一歩踏み出すために、真剣に寄り添いたいと思っています。

↓↓山田さんが参加した、グラミン日本のワークショップは、オンラインで毎月開催中!↓↓